今回は≪新型コロナウイルスの感染予防・対策のために支払った費用が医療費控除の対象となるのか≫というテーマで取り上げます。
新型コロナウイルス感染症が猛威を奮う中、手洗い・うがい、アルコールによる手指消毒、マスク着用の徹底等、私たちは日々様々な対策を実施しています。
では、 ①感染の予防・対策においては手放せないマスクの購入費用
②コロナウイルス感染確認のために行うPCR検査費用
③医療機関での感染リスクを減らすためのオンライン診療にかかる費用
果たしてこれらの費用は所得税の確定申告において医療費控除の対象となるのでしょうか?
まずは、医療費控除の対象となる条件から確認していきましょう。
これら3つの費用に該当するものが医療費控除の対象となります。それでは、冒頭で記した3つの費用がそれぞれ対象条件に当てはまるのかを見ていきましょう。
①マスク購入費用
新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、今やマスクの着用が当然の日々となりました。一時はマスクが品薄となり、マスク代の高騰やドラッグストアでの開店前の大行列、マスク転売騒動等は記憶に新しいことと思います。その後はマスクの在庫も確保され、販売価格も落ち着きを取り戻しましたが、決して安くはないマスクの購入費用。医療費控除の対象となるか気になられている方もいらっしゃるのではないでしょうか…
結論から申し上げると、こちらは医療費控除の対象外となります。マスクの着用は国が提唱していることとはいえ、「疾病の予防」となり、医療費控除の対象条件に該当しない為です。
②PCR検査費用
コロナウイルスの感染の有無を確認するPCR検査は、検査を受けた理由によって医療費控除の対象となるか否かが変わってきます。
⑴検査理由が医師等の診断による場合
医師による診療のために支払ったPCR検査費用は、診療に関しての費用であり医療費控除の対象になります。
ただし、検査費用は自己負担部分と公費負担部分があり、この自己負担部分の金額に限り、医療費控除の対象と認められます。
⑵検査理由が自己の判断による場合
コロナウイルスの感染の有無を確認する目的で、自身の判断により受けたPCR検査費用は医療費控除の対象条件に当てはまらず対象外となります。
ただし、検査の結果「陽性」と診断され、継続して治療を行った場合には、治療に先立って行われた検査と考えられ、この場合のPCR検査費用は医療費控除の対象となります。
また類似した検査で抗体検査がありますが、抗体検査は罹患した一定期間経過後に体内に抗体があるか否かを検査するもので、診療にはあてはまらず、こちらは対象外です。
③オンライン診療代
コロナウイルス感染症による外出自粛により通院している医療機関やかかりつけの薬局へも気軽に出向くことが難しくなりました。一部の医療機関ではオンライン診療を導入しているところもあり、自宅にいながら医師の治療や診察を受けることができます。さらに、医師により処方された医薬品は薬局での受け取りの他に、薬局から自宅へ配送することも可能となっています。
では、このオンライン診療を利用した場合に支払った費用は、医療費控除の対象となるのでしょうか。
⑴オンライン診療代、システム利用料
オンライン診療は文字通り医師等による診療や治療に関する費用のため対象となります。
⑵処方された医薬品の購入費用
治療や療養に必要な医薬品の購入費用は対象です。ただし、その医薬品の配送にかかった費用は治療に直接必要な費用には該当せず、対象外です。
(参考:国税庁HP「4 新型コロナウイルス感染症に関連する税務上の取扱い関係 (nta.go.jp)」
≪まとめ≫
今回ご説明した3つの費用における医療費控除の対象区分は以下の通りです。
新型コロナウイルス感染症の感染対策費用が医療費控除の対象となるかどうかは、実際に診察・治療に関わる費用なのかどうか、ということが判断基準となります。
今回は「確定申告×コロナウイルス」をテーマに≪コロナウイルス関連の医療費控除≫についてお伝えしました。この他にも確定申告における疑問や気になる点がございましたら、お気軽に当社担当までご相談ください。
——————————————————————————————————
医療費控除、確定申告に関心をお持ちの方は下記の記事もオススメです。