医療法人を設立しようと思ったときに、どんな名前にするかは多くの先生が悩まれるところです。医療法人の名称は、どんな名前でもいいというわけではありませんが、ある程度は自由度もあり先生の思いのこもった名前を付けることができます。
ところで、医療法人の名称と診療所の名称は別なのですが、皆様ご存じですか?
医療法人名は、法人の名前です。一般の会社で株式会社 ○○とか有限会社 ○○となっているものと同じで、この名前で法務局に登記することになります。一方診療所名は、医療機関としての名称で、社会保険診療報酬支払基金や国民健康保険団体連合会、そして保健所にはこの診療所名を届出することになります。
会社と違い診療所にも名称があり、その診療所の開設者として、個人の場合は、先生ご自身が、医療法人の場合は、医療法人が開設者となることになります。
よく先生からご質問として、「医療法人 ○○会 としないといけないのか」ということを聞かれますが、特に○○会とする必要はありません。
しかし、
① 診療所(病床数が19床以下)なのに、医療法人 ○○病院ということはできません。
② 患者様が医療機関と思わないような勘違いするような名前はつけられないことになっています。例えば、内科の医院様が医療法人にした際に、医療法人 ○○血液検査所のような名前を付ける場合です。
その名称をつけられるかどうかは、都道府県や保健所に一度確認してみる必要がでてきます。
③ 同一市町村内(政令指定都市の場合は同一区内)で、すでに同一名称の医療法人がある場合、類似名称がある場合にはその名称をつけることはできません。この確認については、その名称が使用できるかどうかの判定を都道府県に確認することになります。
【医療法人の名称と診療所の名称の例 】
医療法人名 | 診療所名 | |
A | 医療法人 〇〇会 | 医療法人 〇〇会 △△診療所 |
B | 医療法人 〇〇診療所 | 医療法人 〇〇診療所 |
C | 医療法人社団 〇〇会 | 医療法人社団 〇〇会 △△診療所 |
Aのような名称が一般的な形かと思います。
Bパターンでは、分院や介護事業などの事業を立ち上げた場合の診療所名や介護事業所名をつけるときに医療法人 ○○診療所 ××診療所という名称が正式名称になってしまうことになります。分院展開をお考えの場合は、○○会といった法人名をきちんとつけておくことをお勧めいたします。
医療法人設立の際は、色々とご検討いただければと思います。
担当 : 医療福祉部門 中村 和弘