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法人経営者に朗報?  赤字でなくても減額変更可能か

法人経営者ならどなたも関心をお持ちのことと思いますが、現在は、以前のように簡単に役員報酬の額を期中で変動できなくなっています。(変動はできますが、損金に認められません。)

期中変額の条件については、
・職制上の地位変更、職務内容の変更、病気療養、不祥事等による臨時減額
・業績悪化による減額
等限られています。この「業績悪化」というのも、単に資金繰りが苦しくなったとか売上高や利益が目標に達しなかった程度ではだめで、債務超過におちいるなど減額せざるをえない事情がないと認められません。
これについては、国税庁HPにQ&A集が掲載されていますが、ここに今年4月Q&Aが一つ追加になりました。これにより、業績悪化条件が緩和されたのではないかと思われますので、ここにご紹介します。

『業績の著しい悪化が不可避と認められる場合の役員給与の減額』

Q.当社(年1回3月決算)は、ここ数年の不況の中でも何とか経営を維持してきましたが、当期において、売上の大半を占める主要な得意先が1回目の手形の不渡りを出したため、その事情を調べたところ、得意先の経営は悪化していてその事業規模を縮小せざるを得ない状況にあることが判明し、数か月後には当社の売上が激減することが避けられない状況となりました。そこで、役員給与の減額を含む経営改善計画を策定し、今月から役員給与を減額する旨を取締役会で決議しました。
ところで、年度中途で役員給与を減額した場合にその損金算入が認められるためには、その改定が「経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由」(業績悪化改定事由)によることが必要とのことですが、当社のように、現状ではまだ売上が減少しておらず、数値的指標が悪化しているとまでは言えない場合には、業績悪化改定事由による改定に該当しないのでしょうか。

A. 貴社の場合、ご質問の改定は、現状では売上などの数値的指標が悪化しているとまでは言えませんが、役員給与の減額などの経営改善策を講じなければ、客観的な状況から今後著しく悪化することが不可避と認められますので、業績悪化改定事由による改定に該当するものと考えられます。

〈解説〉・・・・売上の大半を占める主要な得意先が1回目の不渡りを出したという客観な状況があり・・・数か月後には、売上が激減することが避けられない状況となったため、役員給与の減額を含む経営改善計画を作成した・・・。(中略)・・・場合には、業績悪化改定事由に該当するものと考えられます。また・・・これらの経営改善策を講じたことにより、結果として著しく悪化することを予防的に回避できたときも、業績悪化改定事由に該当するものと考えられます。

とあります。

つまり、会社経営上、成績が大幅に悪くなると予想できる客観的な事実があり、そのために、役員報酬の減額も含めた経営改善計画を策定し、実行したことを説明できるようにしておけば、結果的に大赤字の決算にならなかったとしても、期中減額が認められるのではないかと思われます。

まぁ、こんな事実は起こってほしくはないものですが。

詳しくお知りになりたい方は「役員給与に関するQ&A」をご覧ください。

企業会計部門 島 陽子

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