前回、利益の流れとお金の流れとは同じようで根本的に違うという話をしましたが、今回は具体的にどのように違うのかを見ていくことにします。
まず利益の流れを見ていきましょう。
稼ぎからそれにかかるコストを差し引くと儲けが残ります。これが利益の流れです。
そしてお金の流れです。手元に入ってきた金額から出ていった金額を差し引くと、手元にお金が残ります。これがお金の流れです。
そしてこのお金の流れのことを我々は「資金繰り」と呼びます。
それでは以下の3つのケースに関して考察してみましょう。
ケース1.あなたはラーメン店の店長です。200円の材料費をかけてつくったラーメンを500円で販売しました。
さて、利益の流れとお金の流れはどうなるでしょう?
A1.利益の流れ:(ラーメンの売上500円)-(材料費200円)=(儲け300円)
お金の流れ:(ラーメンの売上入金500円)-(支払った材料費200円)=(手元に残ったお金300円)
「どちらも一緒じゃないか」という声が聞こえてきそうですが、それでは次のケースではどうでしょうか。
ケース2.あなたはラーメン店の店長です。200円の材料費をかけてつくったラーメンを500円で販売しました。ただし材料費の支払いは翌月の末まで待ってもらっています。
さて、利益の流れとお金の流れはどうなるでしょう?
A2.利益の流れ:(ラーメンの売上500円)-(材料費200円)=(儲け300円)
お金の流れ:(ラーメンの売上入金500円)-(支払った材料費0円)=(手元に残ったお金500円)
利益とお金に違いが出てきました。それでは最後のケースです。
ケース3.あなたはラーメン店の店長です。200円の材料費をかけてつくったラーメンを500円で販売しました。ただし常連さんが財布を持ってくるのを忘れてしまっていたため、代金は次回来店時にまとめて頂くことになりました。
さて、利益の流れとお金の流れはどうなるでしょう?
A3.利益の流れ:(ラーメンの売上500円)-(材料費200円)=(儲け300円)
お金の流れ:(ラーメンの売上入金0円)-(支払った材料費200円)=(手元に残ったお金△200円)
注文する前に財布の中身をちゃんと確認してもらいたいものですが、このケースでも利益とお金に違いが出ます。
これが利益の流れとお金の流れの違いです。②のケースでは出金のタイミング、③のケースでは入金のタイミングによって、「儲け」と「手元に残ったお金」に違いが生じています。
今回のケースでは専門用語でいうところの掛仕入・掛売上によって利益の流れと資金繰りに違いが生じましたが、実際に会社が経営を行っていく過程では、様々な要因が資金繰りに影響を与えます。
次回はその要因について見ていくことにします。
担当:重岡 雄太