Ⅰ.免税事業者の要件の厳格化
現行では基準期間の課税売上高が1,000万円以下である免税事業者は消費税の申告が必要ありませんでした。【基準期間・・・個人は前々年/法人は前々事業年度(年換算額)】
ですので、売上が1,000万円を超えても、開業して最長2年間は、消費税の免税事業者でいることが可能でした。
ところが平成25年1月1日以後に開始する事業年度等(個人は平成25年度分)からは、課税事業者の判定が下記の金額が1,000万円を超える場合には、課税事業者となります。
1.個人事業者のその年の前年1月1日から6月30日までの間の課税売上高
2.法人のその事業年度の前事業年度(7月以下のものを除く)開始の日から6月間の課税売上高
3.法人のその事業年度の前事業年度が7月以下の場合で、その事業年度の前1年以内に開始した前々事業年度があるときは、その前々事業年度の開始の日から6月間の課税売上高(その前々事業年度が5月以下の場合には、その前々事業年度の課税売上高)
上記の適用に当たっては、事業者は課税売上高の金額に代えて、所得税法に規定する給与等の支払額の金額を用いることができます(期中の売上高を把握することが難しい零細事業者等への配慮)
■免税事業者要件の改正の適用開始時期
平成25年1月1日以後に開始する年または事業年度より適用されます。
Ⅱ.仕入税額控除の95%ルールの見直し
その課税期間に課税売上高が5億円を超える事業者は、課税売上割合が95%以上であっても一部仕入れ税額控除を適用出来ないことになります。その事業者は個別対応方式、一括比例配分方式のいずれかを選択し仕入税額控除を適用することになります。
現行
◆ 非課税売上高に対応する課税仕入については、仕入税額控除を認めないのが原則です。
ただし、売上のほとんど(95%以上)が課税売上の場合は、すべての課税仕入について仕入税額控除を認めています。(いわゆる「95%ルール」。)
改正案
◆ 事業者の事務負担に配慮する観点から講じられている制度の趣旨に鑑み、95%ルールの対象を中小企業者(1年間の課税売上高が5億円以下の事業者)に限定します。
適用開始期間
◆平成24年4月1日以後開始する課税期間より適用されます。
留意点
◆1年間の課税売上高が5億円超の事業者は、課税仕入等の税額の一部(非課税売上高等に対応する部分)を仕入税額控除できなくなります。そのため、課税仕入の各取引についてさらに区分する必要があり、システム対応等実務上の影響が非常に大きいと思われます。