■争族になりにくい”モノ”とは?
相続はヒトからヒトへと引継いでいくものですから、人間関係によって相続=争族になることがあります。ただ、争いを引き起こすひとつの要因に”モノ”が関係していることが多々あるのです。これは、あなたの財産の内訳に潜んでいます。
■あなたの財産は何型でしょうか?どういった対策ができるのでしょうか?
なぜ、”モノ”は争族の原因になるのか?
相続では、複数の方に亡くなった方の”モノ”を分けることになるので、分ける”モノ”があればあるで、なければないで問題が起こってきます。
昔、ご両親に買ってもらったおもちゃを「誰のものなのか」と兄弟で取り合いしたご経験はありませんか?それと似たことが相続にも起こり得るのです。これは、個人の財産の内訳によるものが大きな原因として挙げられます。
あなたの財産は何型?
※株式(上場されていない自社株式)
これら3つを見比べて、複数人の相続人がいる場合、一番分割しやすいのはどの型だと思いますか?
答えはAの「現金預金型」です。
相続人が複数いる場合、法定相続分や遺留分の問題が常につきまといます。
分割という点で言えば、*流動資産が多い方が分割しやすいのです。
※流動資産: お金、もしくはすぐにお金に変えられるもの(例、現金・預金、生命保険など)
仮にあなたの財産がBの「土地型」に近ければ、土地をどのように所有するのかで争族になる可能性がでてきます。また、Cの「株式型」に近ければ、会社の承継に関して問題が起こる可能性がでてきます。
■どんな財産を持っていればいいの?
流動性の観点から考えると一般的に一番流動性があるのは、現金・預金です。そして、上場株式、投資信託、債券、不動産の順となります。
よく相続対策においては、現金よりも他の財産に変えた方がいいという話を耳にすることがあると思いますが、これは節税を考えているだけで、本来の相続対策を考えているとは言えません。
大切なのはご自身の財産が何型なのか、争族にしない為に今から何をしないといけないのかという問題に真剣に向き合うことです。
相続対策をするに当っては、節税も含めた総合的な判断が必要になってくるのです。それは、一人ひとりに合ったものでなければ意味がありません。このコラムでずっと申し上げているように相続とはヒト・モノ・カネが複雑に絡んでくるものです。だからこそ、なにもせずに相続が起こると争族となることが往々にしてあるのです。しかし、今の時点なら、事前に最適な対策を講じることは可能です。あなたが財産の現状を理解することで、なにが問題となってしまうのか、またどういった対策を打つことができるのかが見えてくるのです。
そのためにも、まず、ご自身がどのような財産を持っているのか、その評価はいくらなのかを理解することから始めてみませんか?
平成21年06月12日 担当:中村 和弘