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COLUMN

企業経営

お金の行き先

帳簿上は利益が出ているのになぜ手元にお金がないのだろうか

なぜでしょう?

それではまず、次の3つの項目をチェックしてみて下さい。

借入金を返済していますか?
日々の取引の中で、売掛金や受取手形などは発生していますか?
クルマなど高額なモノを購入しましたか?

1. 借入金の返済

借入金を返済すると、現金が手元から出ていきます。ところが、会計上の経費は利息だけです。元金部分は経費になりません。お金が出ていった割には経費の額が少なく感じるのではないでしょうか。

2. 売掛金や受取手形など

売上を掛けや手形で取引されていると売掛金や受取手形などが発生します。 1月末締めで得意先へ請求書を送る取引を考えましょう。この場合、入金は2月以降です。会計上の売上げは1月末時点で計上されます。1月末時点で売掛金が残りますが、現金は手元に残っていません。手形も同様です。現金に換金されるまで時間がかかります。だから、「帳簿上は利益が出ているのになぜ手元にお金がない」と感じられると思います。

3. 高額なものを購入

クルマや複合機など高額なモノを購入すると、帳簿上、一度に経費になりません。使用する期間にわたって、毎年少しずつしか経費になりません(これを減価償却といいます)。購入した年は、お金が出ていった割に経費が少なく、計算上利益が出てしまいます。
ただし、翌年からはお金が出ていかず経費だけ計上されるので、1.の返済部分の金額と減価償却費とが同じくらいの金額であれば、お金の収支と損益の計算とが合うようになります。

個人事業の方は4点目にも着目

4. 個人事業者の方で、生活費は当期利益の中からどれぐらいまで使っても大丈夫か、おおよその金額を把握できてますか?

個人事業の場合、収入から経費を差し引いて残った利益の中から所得税や住民税などの税金、健康保険料や生活費を賄います。ところが、利益の中から生活費をどの程度使ってよいのか把握できずに使ってしまい、手元の資金が不足します。結果、資金調達に奔走される方がいらっしゃるのではないでしょうか?

お金がない!となる前に、まずは上記の3点(個人事業主の方は4点)に着目してお金の行き先をもう一度ご確認ください。

企業会計部門 萩原 裕也

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