先日、独立されて間もない方と経営計画の策定をおこないました。経営計画をどのように策定していけばいいのかから始めました。ただし、取引先別の売上計画は事前にお願いしていました。というのも、独立する際、いくつかの取引先があるとお聞きしていたからです。売上計画をふまえて、以下の順に経営計画を策定していきました。
第一ステップ 社名の由来をインタビュー
第二ステップ 会社設立時の貸借対照表の作成
第三ステップ 事業領域の確認
第四ステップ 固定費計画の策定
第五ステップ 取引先別の期末売掛債権の推定
第一ステップ 社名をつけた理由をインタビュー
独立するにあたり経営者の方が名づけた社名には、「想い」がありました。そのことが、経営理念や経営目標へと繋がっていきます。私がしたことは、その「想い」を具体的にまとめていくことでした。
第二ステップ 会社を設立した際の貸借対照表を作成
資本金を誰がいくら出すのか…。それ以外に、これまでプライベートで使っていた車両を事業に投下したり、開業にかかるコストなどを考慮していきます。そうして作成した下記の図が、開始予定の貸借対照表です。
第三ステップ 売上計画を事業領域別に区分
今後の事業領域をいっしょに確認したのち、事前に作成していただいた売上計画をその事業領域別に区分しました。
その利益率の確認をしながら、売上高と限界利益を算定します。この会社は、大きく2つの領域(販売部門・企画部門)に分かれましたので、いずれの領域をいかに伸ばしていくのかを考えながらすすめます。
第四ステップ 人件費などの採用計画を中心とした固定費計画の策定
第三ステップまでの策定を終了した段階で、5ヵ年の損益計算書を確認します。十分な利益を生んでいるのを認識できましたので最終ステップへすすめました。
第五ステップ 取引先別の期末売掛債権の推定
取引先別の取引条件を考慮しながら期末売掛債権を推定しました。仕入の支払条件は統一されていましたので、単純ではありましたが…。理由は資金繰りの確認をするためです。
これまで営業畑を中心とした経営者の方ですので損益繰りはできても、資金繰りや貸借対照表のイメージを全くお持ちでありませんでした。当然のこととはいえ資金ショートを起こしていました。
となると、当初考えていた資本金を増やすか、借入かの選択です。結果、借入を選択し、金利が固定費に計上され、借入返済元本が資金繰りに反映されます。この他にも新規営業への方針を確認し合いました。回転日数を少しでも短くすることなどの取引条件です。
今回の事例で喜んでいただけたのは、以下の3点です。
目標がはっきりとしたこと
資金繰りと言う視点がなかったことに気づいたこと
独立に当って、何をしていけばいいのか優先順位が見えたこと
独立されるときは、自身の位置が見えにくいし、あれもこれもしなければならないという焦りが多く見受けられます。不透明を透明にすることが、大切ではないでしょうか。
担当:川部 俊幸