2008年8月24日の日本経済新聞に、患者の呼び方という見出しで、患者の呼び方が、様からさんへ揺り戻しがおきているとの記事が紹介されていました。京都大学病院が、2006年9月から2007年5月にかけて、「患者様」という表現の掲示物や呼び方を、一斉に「患者さん」に変更したということです。
「様」呼称の弊害は、大きく分けて2点あります。
1.違和感がある
2.モンスターペイシェントの誘発
「患者様」か「患者さん」の呼称は、医院によって異なっています。医院において、医療はサービス業の合言葉のもと、「患者様」推進の医院が増えているのは、実感しています。この流れに待ったをかけているのが、この記事に代表される大病院、大規模診療所です。
医療従事者側が良かれと考え実践した行為が、患者側に違和感を持たせる結果となっている状況では、もちろん見直しは必要になるでしょう。ただ、接する医療従事者側の中でも意見は異なりますし、接される患者側の意見も異なっているのが現状のようです。
■医院の経営理念や医院のサービス方針によって決まる
そもそもこの議論は、院内で院長と幹部スタッフで行われる議論であり、医院の経営理念や医院のサービス方針によって決まるものだと思います。
例えば、掲示物は「様」、受付は「様」、初診の際は「様」、カウンセリングルームは「さん」、チェアサイドは「さん」等の使い分けもひとつの方法です。医院オリジナルの新たな呼称を考えるのも一つの方法です。2案の選択だけを行なうのではなく、第3案の検討も行なってみてもよいでしょう。
今後業界としても、この議論が少なからず上がってくることがあると思いますので、院内ではこの議論を利用し、この機会に「患者様・さん」との接し方を考え、医院において、スタッフとの方向性を合わせる機会にすることもよいのではないでしょうか。