社会福祉法人

社会福祉法人の会計と税務

社会福祉法人の新会計基準

会計ルールの統一

今までは、社会福祉法人であってもその事業内容によって、「社会福祉法人会計基準」(以下「現行基準」と言います。)「指導指針」「病院会計準則」「企業会計原則」等様々な会計ルールが認められていました。

さらに、「授産施設会計基準」「就労支援会計処理基準」もあり混乱していました。
 ⇒「新会計基準」は、会計ルールを統一することになりました。

統一したことにより、簡素化されたわけですが、逆に勘定科目は増えてしまいました。
なお、「現行基準」をベースにしていますが、「指導指針」の考え方が、色濃く反映していると感じます。

適用範囲をそれぞれ独立したものと考え一元化

今までは、「社会福祉事業」「公益事業」「収益事業」(「新会計基準」では、「事業区分」と言います。)をそれぞれ独立したものと考え、それぞれの会計ルールでそれぞれの計算書類を作成することとなっていました。現行基準は「社会福祉事業」のみをその適用範囲としていました。
 ⇒「新会計基準」は、法人全体を把握できるように、3つの事業全てを適用範囲とします。
その結果法人全体の財務諸表が作成出来ることになりました。現行の事業ごとの計算書類を合計した総括表がついたようなイメージです。ただ、「収益事業」で勘定科目が異なっていたような場合は、統一することが必要になります。
なお、お気づきになったと思いますが、「計算書類」という言葉は「財務諸表」に変わりました。

区分方法の変更

「現行基準」では「経理区分」、「指導指針」では「会計単位」「セグメント」という区分方法でした。
 ⇒「新会計基準」は、「事業区分」の下に「拠点区分」「サービス区分」を設けることになりました。

「拠点区分」は、一体として運営されている施設や事業所です。
「サービス区分」は、個々のサービスを言います。
「現行基準」においては「経理区分」だけですが、新会計基準ではこれは主に「サービス区分」に対応します。そして、その上に施設や事業所ごとまとめる「拠点区分」が設けられました。
「指導指針」においては「会計区分」⇒「拠点区分」、「セグメント」⇒「サービス区分」であり、基本的に変更はないことになります。

財務諸表について

前にも記載しましたが、「計算書類」から「財務諸表」に呼び方が変わりました。
会計的な見地から見て、一般的な呼び方になったと思います。

【資金収支計算書】
  1. 収入・支出に表現を統一

    「収入」「支出」は、資金の増減を表す場合のみになりました。

  2. 区分の変更
    ①経常活動による収支 ①事業活動による収支
    ②施設整備等による収支 ②施設整備等による収支
    ③財務活動による収支 ③その他の活動による収支

    「現行基準」では、あいまいな点がありましたが、「新会計基準」では、①②の内容が限定され、③をその他の活動にすることになりました。
    主な変更として、「設備資金借入金収入」「設備資金借入金元金償還支出」が、③財務活動による収支から②施設整備等による収支に変わった点が挙げられます。

  3. 科目名

    ○○○○費 ⇒ ○○○○費支出

【事業活動計算書】
  1. 収益・費用に表現を統一

    「収入」「支出」は資金収支計算書のみに限定し、事業活動計算書は、「収益」「費用」に統一しました。

  2. 名称の変更

    「事業活動収支計算書」 ⇒ 「事業活動計算書」

    「収入・支出は資金取引の表現」との考え方を受けて「収支」の言葉が削除されました。

  3. 区分の変更
    ①事業活動収支の部 ①サービス活動増減の部
    ②事業活動外収支の部 ②サービス活動外増減の部
    ③特別収支の部 ③特別増減の部

    基本的に内容は変わっていません。
    主な変更として、「○○区分間繰入金収入・支出」が、事業活動収支の部から特別増減の部に変わった点が挙げられます。

  4. 科目名

    ○○○○収入 ⇒ ○○○○収益

【貸借対照表】
貸借対照表は、純資産の部の内訳表示と、「次期繰越活動収支差額」が「次期繰越活動増減差額」に変更となった以外は特に様式の変更はありません。
附属明細書、注記の充実
【附属明細書】
今までは、採用している会計ルールごとに様々な別表や明細表の作成が求められました。
 ⇒「新会計基準」は、これらの書類が共通フォームの「明細書」に統一されました。
但し、就労支援事業や授産事業においては、追加の「明細書」が残りました。
【注記】
今までは、計算書類の基本的な最低限(7項目)の限られた注記でした。
 ⇒「新会計基準」は、より正確に理解できるように15項目に倍増されました。
また、法人全体だけでなく拠点区分でも記載が必要になりました。
毎年度複雑な作業がいる項目はないと思われますが、初年度はそれなりの準備が必要でしょう。
印象

会計ルールが統一され、財務諸表の構成等は、合理的になったと思います。
しかし、「事業区分」「拠点区分」「サービス区分」という分類毎に財務諸表を作成することに加えて、予算対比のものも必要とされるため最大5段階の財務諸表の作成が求められることになりました。財務諸表、附属明細書、注記、会計ルール等、これからは特に決算においては、かなり複雑な処理が要求されることになると思います。

会計ルール

資産と負債に係る流動・固定の区分、資産の価値の変動等をより正確に財務諸表に反映し、財務情報の透明性を向上させるため、公益法人会計基準(平成20年4月)を参考に、たとえば以下の会計手法を導入します。

  1. 1年基準(ワン・イヤー・ルール)
  2. 金融商品の時価会計
  3. リース会計
  4. 退職給付会計
  5. 減損会計
  6. 税効果会計

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